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安山松巌記年代実録(やすやましょうげんきねんだいじつろく)
科学技術の発達した現代では、彗星(すいせい)の軌道や公転周期が精密に計算され、誰もがその存在を知ることができます。
しかし、現代ほど技術が普及していなかった江戸時代、夜空に突如現れた彗星を、人々はどのような気持ちで見上げたのでしょうか。このことについて、都城島津家家老の安山松巌は自らが記したと伝えられる安山松巌記年代実録の中で、天保14年(1843)2月7日に現れた彗星の観察を基に星図が作成され、吉凶の判断や故実の照会などが行われたことを記録しています。
このとき観測された彗星は、グレートマーチ彗星と考えられ、大乱や災害の前兆ではないかと心配されたことをうかがい知ることができます。