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覚兼日史(かくけんにっし)
都城島津家は、重要な古文書の写しを数多く伝承しています。とりわけ、印刷技術が普及していなかった時代には、原本を書き写すことで資料を残していました。
都城島津邸収蔵史料の中には、国指定の重要文化財に指定されている「上井(うわい)覚兼日記」(東京大学史料編纂所蔵)の写本があります。
覚兼は、島津家を代表する戦国武将で、島津義久(よしひさ)に仕え、島津家の九州制覇に貢献しました。日記には、当時の合戦や武士の生活の様子が記されているほか、覚兼自身が文芸にも秀でていたことから、武将が和歌や茶の湯をたしなむ様子も記されています。
江戸時代になると、書物が印刷刊行されるようになり、都城島津家も、印刷された書籍を収集しています。一方で、重要な古文書などは、写本を作成していたことから、この史料が都城島津家にとって重要な書物であったことをうかがい知ることができます。