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示現流聞書(じげんりゅうききがき)
示現流(じげんりゅう)は主に薩摩藩内で伝承された剣術の流派です。始祖は、島津家家臣として戦国末から近世初期を生きた、東郷(とうごう)重(しげ)位(かた)という人です。重位は京で学んだ剣術に創意工夫を加えて示現流を編み出しました。以後この剣術が薩摩藩の主要な流派となります。
特徴は、一振り目に勝負のすべてを賭けて振り下ろす、「先手必勝」の鋭い斬撃にあるとされています。また、そのための稽古も木刀で立木を左右から斬撃するという反復練習が主であり、実戦に主眼がおかれています。
都城島津家歴代の領主も示現流を学んでいたようで、多くの伝授書が残されています。この史料は、15代久直が、養子となる前の寛永9年(1632)に重位から伝授されたものです。