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大草流庖丁之書(おおくさりゅうほうちょうのしょ)
この書物は、室町幕府の奉公衆(将軍直属の武家官僚職)であった大草公次(おおくさきみつぐ)によって考案された料理方法をまとめたもので、その場の趣向や吉兆を踏まえた素材のさばき方、盛りつけ方などが記されています。 鹿児島藩では、十八代島津家久(いえひさ)の代に石原佐渡(いしはらさど)という人物がこの料理法を修得。十九代光久(みつひさ)の代に、石原嘉右衛門(かえもん)が庖丁人として召し抱えられたことから、以後、諸大名のもてなしや元服式などで振る舞う料理は、この大草流に基づいて作られるようになりました。 都城島津家に伝わるこの書の最後には、明和6年(1769)、二十代島津久茂(ひさもち)の希望により大草流が承継されたことが記されています。 このほかにも、藩主との交流や、料理作法、食文化などをうかがい知ることができる貴重な史料です。