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鉄錆地紺糸威瑠璃斎胴具足(てつさびじこんいとおどしるりさいどうぐそく)
この甲冑(かっちゅう)を使用した20代領主島津久茂(ひさもち)は、肖像画に鷹や火縄銃が描かれていることから、鷹狩りや砲術など、武芸に秀でた人物であったことをうかがい知ることができます。
この甲冑からも武芸に長けた久茂の気概を感じとることができます。作は当時世に名高い江戸の甲冑製作師明珍(みょうちん)家の系統を受け継ぐ明珍長門守宗政(みょうちんながとのかみむねまさ)です。このことから、都城島津家が当世一級の甲冑師へ製作を依頼することができるほどの経済力を持っていたことを示すとともに、大名クラスの所領を持つという威厳を感じ取ることができます。
さらにこの甲冑は「江戸の美」も見せてくれる、とても貴重な史料です