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島津元丸地頭嘆願書写(しまづもとまるじとうたんがんしょうつし)
これは、地頭として三島通庸(みしまみちつね)が都城に派遣された後に、北郷伴兵衛(ほんごうはんべい)ら旧都城島津家の家老級の武士9人から出されたもので、都城の領主であった北郷元丸(もとまる)を都城地頭に任命してほしいとした嘆願書の写しです。
彼らの主張は元祖資忠(すけただ)以来、500年にわたる家臣であることから都城の地を領主が離れることは忍びがたいというものでした。宛先がなく、どのような経緯で中央に伝えられたかは不明ですが、史料の上部に記載されている貼紙の写しに「朝命をもって御一決の事候につき御採用これなきこと(天皇の命令に基づいて決まったことであるから、採用はない)」とあることから、嘆願書は提出されたものの、願いは聞き入れられなかったことが分ります。