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緋羅紗地丸(ひらしゃじまる)に十字紋陣羽織
25代久静(ひさなが)が着用したものです。典型的な幕末期の陣羽織です。緋羅紗地で、襟には黒ビロード地を使い、白羅紗で丸に十字紋を置くなど、細部まで装飾を凝らしており、背面の大きな総角の飾りなどは、通常大名の陣羽織にはあまり用いられていない派手なつくりです。久静は、文久2年(1862)、宗家の藩主 島津久光が兵を率いて京に上るとき、命により都城の兵とともに京へむかい、天皇御所の警備にあたったことが知られています。その際に着用されたものかもしれません。