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都城の方言を紹介します

記事ID:3783 更新日:2019年10月29日更新

ある限られた範囲の地域で用いられ、共通語とは異なる語彙(ごい)や発音・語法を交えて伝達する言語を方言といいます。

都城市の人々が話す方言にも、次のようないくつかの特徴を見いだすことができます。

発音上の特徴

都城の方言は地域の伝統から薩隅方言の一種ですが、アクセントやイントネーションが鹿児島で用いられる方言とは大いに異なっています。

角川版の『国語辞典』によれば、日本語のアクセントは系譜上四つに分類されています。京都や大阪などを中心として行われる第一種アクセント、東京都や横浜市などを中心に行われる第二種、埼玉県東北部や山梨県、島根県の各一部、長崎県や鹿児島県などを含む九州西南部地方で行われる第三種、そうして最後の第四種が、都城市や北諸県地方を中心に行われているアクセントです。

この系譜上の分類と形式上の分類との関係は、第一、三種が「京阪式」 に、第二種が 「東京式」 に当たり、第四種は「統合一型式」 のアクセントに当たるとされています。

次に都城方言の語彙は、その八、九割までは薩隅方言と同一ですが、そのアクセントやイントネーションにおいて大きく異なります。すなわち薩隅方言は抑揚の変化に富んでいますが、都城方言は極めて平板に話され、一様に語尾を揚げるのを特徴としています。

鹿児島の方言と相違する語彙

都城で用いられる方言と鹿児島で用いられる方言とを比較してみて、全く語彙の異なる言葉には、次のようなものがあります。

辛い:都城 コエ、鹿児島 テセ
小さい:都城 コメ、鹿児島 チンケ
お前は:都城 ワラ、鹿児島 ワヤ
誠に:都城 マコチ、鹿児島 ホンノコテ
早い:都城 ハエ、鹿児島 ハヤカ
寒い:都城 サミ、鹿児島 サムカ
蛙:都城 ビッキョ、鹿児島 ドンコ
赤飯:都城 マンカンメシ、鹿児島 アズッメシ
行って:都城 イタッ、鹿児島 イッセーニ
とんぼ:都城 バブタ、鹿児島 ボイ
河童:都城 ガグレ、鹿児島 ガラッパ
からい:都城 カレ、鹿児島 カラカ
たくさん:都城 ドッサイ、鹿児島 ズンバイ
たびたび:都城 ハタレッ、鹿児島 ハイト
さようなら:都城 インマナ、鹿児島 ソイナー
しかし:都城 ジャッドン、鹿児島 ジャッドンカラ

重語の発達

方言語彙そのものが異なっている他に、たとえば強意の表現をするのに鹿児島では形容詞の語尾を延ばしますが、都城では次のように形容詞を重ねる点に特徴があります。

大いに寒い:都城 サミモサミ、鹿児島 さむかぁ
大いにつらい:都城 コエモコエ、鹿児島 つらかぁ
大いに暑い:都城 ヌキモヌキ、鹿児島 あつかぁ

鹿児島の方言と相違する理由

同一薩摩藩という伝統を持ちながら、鹿児島と都城との方言において、語彙面と発音にこのような相違があるのは、地理的な理由と歴史的な理由とを加味して考えなけれはなりません。すなわち、都城・北諸県地方は霧島山の南東盆地にあって、地理的にも薩摩藩の本府鹿児島から遠く離れていて、かつては交通の便も悪く通婚圏域ではありませんでした。第二に歴史的な理由として、都城地方は島津第四代忠宗の六男資忠が、正平七年(1352)以来、ほとんど一貫してその子孫が統治して明治の版籍奉還に至ったことです。このようにあまり人的交流がなかったことなどが、その一因として挙げられるでしょう。

 よかにせ

「よかにせ=都城方言で格好良い男性を指す」『画像出典・十五代北郷久直像(部分)』

※「第14章 方言 第1節 都城方言の特色」『都城市史 別編 民俗・文化財』 1996 都城市より

※都城盆地内でも、地域によって使われる語彙は少しずつ異なっています。都城の方言についてくわしく知りたい場合は、下記資料などを参照ください。都城市立図書館<外部リンク>で見ることのできる資料もあります。

「日向の方言」 石川恒太郎 日向文化研究所  1962
「太郎坊町史都城方言集」 瀬戸山計佐儀 都城史談会  1974
「都城方言集」 瀬戸山計佐儀 都城史談会 1974
「鹿児島方言辞典」 嶋戸貞義 図書刊行会 1974
「高城の方言」 市園辰夫 1978
「宮崎県の方言調査報告書」 宮崎県教育委員会 1985


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