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平成23年12月に発掘調査した菓子野地下式横穴墓群2011-2号地下式横穴墓からみつかった人骨について、九州大学と鹿児島女子短期大学の先生方に依頼して、各種分析を行った結果、大きな成果がありました。
この地下式横穴墓は一つの竪坑に二つの玄室がつくられており、とても珍しい形をしています。二つある玄室の一つは全く壊れておらず、人骨なども1500年前に葬られた時そのままの姿を保っていました。
A号玄室では、奥から熟年男性・幼児・壮年男性、B号玄室には熟年女性が葬られていることがわかりました。顔の形は全体的に面長であり、同じ時代の宮崎平野部の人ほどではないが、山間部(えびの市など)の人に比べると、やや渡来人的な特徴があるようです。
A号玄室の一番奥の人骨の歯からデンプン粒をみつけることができました。
このデンプン粒を、今の植物のデンプン粒と比べた結果、アズキやオオバユリの中にあるデンプン粒の可能性が考えられました。この人は、亡くなる前にアズキやオオバユリを食べていたのでしょうか?。
幼児の人骨を除けば、歯冠計測によって親族関係(血縁関係)の推定ができました。
この結果とこれまでの山間部(えびの市・高原町)の例をあわせると、同じ時代の畿内地方や北部九州で確認されている父系を基本とした埋葬を示すものではなく、双系的な埋葬の可能性が高いと考えられました。
各人骨の放射性炭素年代をはかり、暦年較正した結果、5世紀中頃~6世紀前半であることがわかりました。
上段:左・調査のようす:右・B号玄室/中段:左・入口からみたA号玄室:右・3体の人骨がみつかったA号玄室/下段:左・歯石を調べた部分:右・デンプン粒の顕微鏡写真